最新オーディオ事情

 私のオーディオ暦はもう40年以上になる。長年やっているからといってそれほどベテランだとは思わない。最近のデジタル技術の進歩はすざましく誰でもプロ並みの音作りが可能になったからだ。聴いていた音楽は流行歌(当時はこういった)に始まって年とともにジャズ、映画音楽そしてクラシックへと移っていった。音源はAMラジオ、FM、レコードが主だったが時代が変わるにつれて自然にオーディオテープがこれらのソースに加わってきた。といっても30年以上前の話である。時が流れて、気が付いてみたらオーディオはすっかり様変わりしてCD、DVD全盛の時代になっていた。
 使っているパソコン(PC)はそれほど新しくはないが、これでも当然のことながらCD音楽やDVD映画を楽しむことができる。PCで仕事をしながら景品でもらったセミ・クラシックのCDをBGMとして鳴らしたり、たまにはDVDで映画を楽しんでいた。ただ、私のPC標準装備のサウンドシステムの音質はお世辞にもいいとはいえない。ソースが悪いのかもと思い、昔よくレコードで聴いたFontanaのサントラ版「死刑台のエレベーター」のCD版を買ってみた。やはりなんとも帯域の狭いつまらない音が出てきた。景品のせいではなさそうだ。メディアプレイヤーは最新のものにバージョンアップしてあるので、この音のつまらなさはサウンドボードか、多分にスピ−カーのせいだろう。

 こんなことから手持ちのオーディオシステムをPCにつないでみることにした。本来、雑音発生の顕著なPCそのものがオーディオにはマッチしないと決め付けていたが、USBオーデイオの普及によってこの考えは一変した。オーディオ信号はUSBアダプターの中でデジタル信号に変換されるためPCにはノイズに強いデジタル信号として入って行く、すなわち保存された音源はワードやエクセルのデータファイルと同じレベルで扱うことができる。PC内で発生する雑音やハムは殆ど気にする必要がなくなったといってもいい。能書きはともかく旧式のHi-Fi装置(敢えてこう言う)でも、いとも簡単にPCにつながってしまうのだから技術の進歩には驚いてしまう。

 真空管アンプを持ち出す
 人間の欲とは恐ろしいもので、本格的なアンプといっても市販品では物足りなくなってきた。中でもサラやナットキングコールなどヴォーカルの再生がイマイチに思える。ヴォーカルには真空管アンプ、そういえば昔使っていた管球アンプがどこかに残っている筈だ。探してみるとダンボールの中から出てきた。真空管は予備も含めて全て揃っている。8本の真空管を刺してスイッチオン、ちゃんと鳴るではないか。音の違いを言葉で表わすのは難しいが、「人の声らしい澄んだ音がする」というのが一番当を得た表現だが気のせいかもしれない。中、低域の豊潤な澄んだ音、特に音質のシビアなピアノはやはり管球アンプの方が私には気持ちがいい。ナットキングコールも市販アンプとは一味違う自然な音色に聞こえる。立ち上がりの急峻なCDの音にも十分反応する。このアンプはマニアの定番2A3PP、出力は15ワットだが私の仕事場にはこれでも十分すぎるパワーだ。捨てずに取っておいて良かったとあらためて思った。

 スピーカー JBL
 JBLのLE-8Tというスピーカーを昔から愛用している。いわゆるシングルコーンのフルレンジというやつだ。ツイータやスコーカーはなく、これ一本でフルレンジをカバーする昔風のスピーカーである。特に大きな音量は必要ないのでこれで十分、何十年も飽きずに聴いている。当時の自作派に愛用者の多いスピーカーだった。しかし、PCで鳴らすにはボックスの図体が大きすぎるのが欠点である。
 JBLのControl3 Proというブックシェルフ型の小さいスピーカーを買ってみた。サラウンドのバックに好んで使われたスピーカーである。中高域はさすがにJBL、澄んだ音色がセリ出してくる。低域は箱が小さいので頼りないが、PCに付属しているスピーカーとは比べものにならないゴージャスな音が楽しめる。しばらくして同じJBLのControl5を手に入れた。これはJBLのコントロールシリーズの中でも箱の大きい方に属するスピーカーで、1980年代には相当高い評価を得ていた人気商品だった。
 Control5はさすがに低域までバランスのとれたいい音がする。本格的な大型ボックスのスピーカーには及ぶべくもないが仕事場のBGM用としては申し分ない。指定ボックスに入ったLE-8Tのような豊潤な音とは違って、乾いた別の音が出てくる。ブックシェルフタイプの宿命だろう。JBLは最近ではPCシステム専用の小型スピーカーも出しているようだ。
 国産スピーカーはDiatoneのDS-37HRVという3ウェイのスピーカーを使っている。いろんなソースを聴き較べてみると、どうも国産のスピーカーは中、低域の歯切れがJBLに比べてイマイチのような気がする。好みの問題といってしまえばそれまでだが、やはりジャズとJBLはベストマッチなんだろう。

 ブランド名JBLは
 「音」に人生を捧げた一人の天才エンジニア、ジェームス・B・ランシング(1902-49)のイニシャルに由来している。1934年、MGM の依頼により大型劇場用スピーカーシステムを完成、1937年劇場用小型システム「アイコニック」の成功でJBLサウンドの原点が確立された。1946年「もっと美しい家庭用スピーカーが作りたい」を動機にJBL社を設立し、没後も発展を続けて現在に至る。(harman internationalの「ブランド解説」から抜粋)

 最近のノート型PCはオーディオシステムもしっかりしたものが内蔵されているがスピーカだけはイタダケない。コンパクトさとは相反するものだから仕方ない。PC専用のスピーカーシステムには普通数ワットのアンプが内蔵されている。中には数十ワットというのもある。実は「このアンプ内蔵」というのが有難く、MD、カセットテープやテレビなどヘッドフォーン端子があれば何でも鳴らすことができる。PCなども立派なDVDプレイヤー、CDプレイヤーやテレビに変身してしまうのである。PCスピーカーシステムの音質は大同小異だがブランドに拘ってJBLのPlatinumというのを買ってみた。もともと小型スピーカーは低音が頼りないので少し強調されているのだろう、不思議な音がする。PCに標準装備されているグラフィック・イコライザー(ソフト)で高域を少し持ち上げてやるとJBLらしいバランスの取れたいい音になった。ジャズシンバルなどはこの方が気持ちいい。

 ジャズライブ・テープのCD化をするようになってBGMでは済まなくなってきた。重低音の再生が仕上がりに影響するようになり、流行のトールボーイ型のInfinity Kapper 7.2iを手に入れた。米国製の手作りスピーカーだがなかなかバランスの取れたいい音がする。環境的にあまり音量を上げられないので、このスピーカーの本領を発揮するには至らないのが残念だ。

 スピーカーの切り換え
 Infinityはもちろんだが、LE-8TやControl5でもかなり低音が出るので深夜には隣近所に気兼ねすることもある。切換ボックスを使って持っているスピーカーを切り換えて使うことにした。この切換器は4つのスピ−カーをワンタッチで切り換えることができるので聞き比べには便利なボックスだ。ジャンクに近くただ同然で手に入れた。超小型のControl3 Proは深夜用として気兼ねなく鳴らせるので捨てがたい。

 CDプレイヤー
 だいぶ前の話になるがリサイクルショップでKenwoodのCDデッキを見つけた。安いのでゲットしたが、これはデジタル出力しかなくKenwoodのコンポでないと使えない。このとき古いヤマハのデッキCDX-700も買ってその後もずっとこれを使っている。

 グラフィック・イコライザー
 古いステレオ概念が頭の中にあるのでグラフィックイコライザーは手放せない。何十年も前からVictorのSound Effect Amplifireというのを使っている。チャンネルレバーの一部がガリオームになってはいるものの十分機能を果たしている。周波数のアジャストが5チャンネルなので少しもの足りない気もするが。
 オンキョーのDual Graphic EQを買ってみた。帯域は10チャンネルに分割され、しかも左右別々にコントロールできる。グラ・イコは、今は流行らないかも知れないが、周波数分布のディスプレーの動きを見ているだけでも楽しいものだ。

 音楽ソースはCDが全盛
 往年のジャズファンとしてはマイルス・デイビス、オスカー・ピーターソン、カウント・ベイシー、ライオネル・ハンプトン、MJQ、ハービー・ハンコック・・・などプレーヤーの枚挙には暇の無いところだが今聞いても少しも古さを感じさせない。CDも沢山出ているのでこういった懐かしいソースにも事欠かないのはありがたい。新しいところでは大野雄二のルパンIII世、モダンジャズ調のライブ録音は音質もよく軽快なテンポは聴いていて飽きが来ない。

 テープデッキ
 CD全盛の時代になってカセットテープはすっかり人気を落としてしまった。操作性やS/Nを考えるとCDに軍配があがるのは当然のことだ。しかし、昔からのソーステープがずいぶん残っているし、これらを今聞いても十分いい音で再生してくれる。ダビングを頼まれることもあるので今でも必要な装置のひとつである。手持ちの古いティアックもくたびれてきたので調達することにした。
 テープデッキといえばナカミチ、オーディオファンなら誰でも知っている高級ブランドだ。憧れのブランドではあっても手に入れるには高過ぎた。しかし中古なら今は簡単に手に入る。

 カセットテープ
 廉価版追求者としは、100円ショップの、2個100円の74分ハイポジ(クローム)テープや一個100円の120分テープが気になるところである。しかし120分ものはテープ材質が薄いので、3ヘッド(クローズドループ・ダブルキャップスタン方式)のデッキの取説には使わないように書いてある。あまり気にせずに使っているが、今のところトラブルは起っていない。私はドルビーはあまり好きではないので使わないが、テープの指定バイアス(70μ)で録音してもヒスノイズはほとんど気にならない。テープ自身の材質がよくなったのかとも思うが、一つ言えることは、装置のVUメーターがアナロクから最近はLEDなどのレベル型に進歩しているので、ピークレベルがつかみやすくテープ性能ぎりぎりまで録音レベルを上げることができる。昔と違ってS/Nのいいテープができるようになった。安いテープでも十分いい音がするのはこの効果が大きいと思う。昔のテープもいい音で鳴っているが、中にはリーダー部分の糊が劣化して一度聴いたらお終いというものも何本か出てきた。

 レコードプレーヤー
 ジャズのレコードは少なからず残っている。昔からデンオンのクォーツDD、DP-51Fを使っているがCDに比べると出番は少ない。安いので他にも2台中古でゲットしてある。カートリッジはシュアのTYPE3、ジャズにはこれに勝るカートリッジはない、と勝手に思っている。LPレコードも時々聴いてみるが、CDと違って音楽性豊かな音に聞こえるのは懐古趣味だけではないだろう。時間の経過はレコードをダメにする。だんだんプチプチ音が増えていくような気がする。最近は中古レコード屋さんも増えてきてLPレコードは静かなブームになっているとか。シナトラやアル・ハートのLPを2,3枚買ってみたがジャケットは傷んでいても盤そのものは綺麗である。マニア所蔵だったものが多いせいだろう。ノイズが少なくいい音のするものもある。

 DATデッキ
 DATデッキは果たして必要か。生録する以外に鳴らすソースがない現在、一般にはその必要性はまったく感じられない。私の場合はライブハウスやビッグバンドジャズ演奏会の生録ソースをCDR化するという仕事があるので必需品となっている。
 ライブハウスなどでは今でも演奏をDATで録音しているところが多い。生録のジャズを再生してみると市販のCDやLPレコードとは違った世界の音がする。今のところ、音質の点では生録DATに勝る音楽ソースはないだろう。また、シナトラのLPをまわしてDAT録音してみた。小信号でもヒスノイズのない分カセットテープとは違うクリアなサウンドを聴かせてくれる。レコードの操作は面倒なのでDATに落として聴く手もあるが、操作性を言うならいっそのことCDR化した方がよりいいだろう。

 ポータブルDAT
 中古のソニーDATウォークマンTCD-D3をゲット。1992年の発売当時は世界最小のDATだったらしい。ケース、ACアダプター、電池、ケーブルそれにマイクなど全ての付属品がそろっているものを見つけて手に入れた。製造中止になっているモデルの付属品を後から揃えるのは至難の業である。ポータブルタイプの機種はケーブル、マイクなど一般市販品が使えないことが多い。ただ、ニッカド電池は古いものはあてにならず、大抵はダメになっている。フル充電してもメモリー効果が出ていて数分しか持たないのが現状だ。
 早速ライブテープを使ってデジタルコピーを実験してみる。オプチカル(光)ケーブルも問題なく、難なく孫テープができ上がった。試しに、先に買っておいたDigital copy Cancelerを通してみると孫テープからのコピーも可能である。本来、DATの超悪スペックであるSCMS(Serial Copy Management System=コピー防止システム)はオリジナルテープからのコピーのみ可能で、コピーされた孫テープからのコピーはできないようにガードされている。コピーキャンセラーはこれを可能にするものである。
 このDATのダメになった電池は改造することにした。上部を糸鋸でカットして中のNiCdセルを全部とっぱらい、ニッケル水素電池が使える単三ホルダーを取り付けた。付属のニッカド電池の容量は1300mAHだが、もう少し性能のいい2100mAH(最新はこれ以上のものもある)のニッケル水素電池を使うことにした。これでもこのDAT付属のACアダプターで1時間の急速充電が可能である。2時間半くらいの連続録音が可能になった。しかし、まだ一度も生録をトライしたことはない。

 FMチューナー
 友人がローカルのFM放送にゲスト出演することになった。そーかFMチューナーも要るか。
 昔、自作したチューナーをAUX端子に入れて聴いて見る。最近はジャズ番組も増えたようだ。DATに、いわゆるエアチェックしてみると、SNがよくなかなか具合がいい、電波とは別の音に感じるのは気のせいだろうか。エアチェックにDATはどうも良さそうだ。この自作チュ−ナーは同調ツマミがバリコン直結という40年くらい前に作った前時代的なシロモノなので周波数の直読ができない。みっともないので薄型のチューナーDENON TU-750を手に入れた、なんと2,000円。使われた形跡がなく新品同様の綺麗なものである。欠点といえば取説が無いくらいのことだ。感度がよく、音質重視設計というだけあってサウンドはしっかりしている。管球(2A3PP)の無帰還アンプはこんなときに真価を発揮する。ニュースやパーソナリティの声が自然に聞こえるので長時間聞いていても疲れない。
 早速、我が調布FMローカル局83.8MHzを選局してみたが何も聞こえない。そういえばチューナーにはケーブルテレビのアンテナをつないでいる。82.8MHzを聴いて見るとどうもこれが目的の局らしい。これをメモリーにセット、これで友人の出演番組のエアチェックは準備完了である。タイマー録音や待ち受け受信で対処できる。AM放送は付属のループアンテナで十分実用になる。

 USBオーディオ・アダプター
 PCにサウンドを取り込むときは、普通標準装備されているサウンドボード(カード)を使う。しかし最近はUSB端子に接続できるアダプターが数多く出まわっている。内蔵のサウンドボードよりS/Nの点で有利なことは冒頭に書いた通りだ。ローランド製のアダプターを何種類か買ってみた。アナログサウンドをAD変換してPCに取り込んだり、デイタルサウンドを効率よくPCに送り込むことのできる周辺装置である。またこの逆の、オーディオ装置に出力もできる便利なアダプターである。試しにライブ録音されたDATをファイル化してCDに落としてみた。これらのアダプターがあれば比較的簡単にLPレコードやDAT音源をCD化できる。有名なSound itというソフトは、サウンドをいじるにはよくできたソフトである。素人にも簡単に使える点、大変優れたソフトといえる。その他CLEARN4.0なんかもよくできている。

 レーザーディスク
 PioneerのCLD-100をオークションでゲットした。ジャズ版をVTRに落とす必要があったからだ。このモデルは片面再生なので少こし不便を感じていたが、ローカルのミニコミ誌のさし上げますコーナーに「レーザーディスクさし上げます」があり、誰も手を上げなかったのでもらってきた。両面再生が可能なSony MDP-A10というモデルだったのでPioneerのCLD-100と交代した。

 MD Player
 MDは規格の変動(?)が激しくいいデッキが見つからない。ウォークマンで我慢することにし、SonyのMZ-N910という標準的なモデルを買った。NET MDという機能が搭載されPCからのファイル転送が可能になったのは特筆ものだ。実時間の録音をしなくていい分MDの作成は楽になった。ただ、サポートソフトは操作が難解で使いやすいとは言えない。PC(ハードディスク)内のすべての音楽ファイルを取り込むので立ち上がりにはかなり時間がかかる。

 以上は、昔から聴いている古いオーディオシステムを最新の装置に徐々に置き換えていった過程を断片的に独断の私見で紹介したもので、廉価版追求者としては、PC関係以外はほとんどがオークションやリサイクルショップでゲットしたものだ。(2002年6月記)

 CD(R)化のモニターシステム
  ターンテーブルDenon DD Full-Auto
Pioneer PL-380 DD Full-Auto
Sansui Belt Drive Semi-Auto
Technics SL-3300 DD Full-Auto
Victor QL-Y5 DD Quartz Semi-Auto
  カートリッジShure Type III(x2) 、オルトフォン
オーディオテクニカ、グレース、他多数
  イコライザーSolidstate(EQ専用LSI)
DIATONEプリアンプ
YAMAHA HA-5(x2)
  DATデッキPioneer D-05(x2)
Sony TCD D3
  カセット・デッキNakamichi BX-150
Nakamichi CR-30
Sony TK-555ES
  オープンリール・デッキTEAC A-2300S
SONY TC-255
  MD PlayerSONY MZ-N910
  A/D ConverterRoland USB Addaptor(x3)
  D/D input DeviceRoland USB Addaptor(x3)
  メインアンプHM 2A3PP管球アンプ
Sony TA-F303ESD
Accuphase E-405、その他
  スピーカーJBL Control 5
JBL Control 3 Pro
JBL LE-8T
JBL Plautinum(PC)
Infinity Kapper 7.2i
Infinity Kapper Video
Diatone DS-37HRV
  CDデッキYamaha CDX-700
KENWOOD DP-990SG
Panasonic SL-PS700
Victor XL-Z711
Denon DCD-1650AL
Denon DCD-755 II
Aiwa LCX-110
  レーザーディスクPioneerのCLD-100
Sony MDP-A10
  ミキサーMarantz PMD740

 
Home