ライブとカメラ
 ジャズライブの撮影は意外に難しい。
 ノーフラッシュ撮影を心がけているからだ。
 第一に、フラッシュを焚くと場面によっては雰囲気を壊してしまい、これは、ミュージシャンやオーデイエンスに迷惑をかけることになる。
 第二に、フラッシュは近くの被写体ほど光が強く当たるため、観客の光った頭や後姿だけが明るく写り肝心のプレイヤーの露出は落ちてしまうことが多い。
 第三に、フラッシュ撮影は描写が平坦になりやすく立体感の乏しい写真になってしまう。

Asahi Pentax SPF
 ミュージシャンにスポットは当たっているものの、実際に写真を撮る明るさとしては十分ではない。こんな場合、スローシャッターを使うのが常道だが、あまり遅いシャッターはカメラブレや被写体ブレを起こしてシャープな写真は期待できない。三脚を使うことはまず不可能である。
 こういう厳しい条件下では、明るいレンズと高感度フィルムを使う以外に手はない。F2クラスの明るいレンズ−ワイド、標準、望遠−の3本は最低必要だろう。ズームレンズはコンパクトでいいが、残念ながらこれらの画角を満たす明るいレンズは存在しない。フィルムは最低でもISO400、F2.8クラスのレンズならISO800が必要である。労音R's Art Courtの「宮間利之とニューハード」の撮影にはアサヒペンタックスSPF、レンズはSMCペンタックス35mmF2、50mmF1.4とSMCタクマー135mmF2.5を使った。明かるいレンズが揃っているので30年くらい前のカメラでも十分実用になる。フィルムはネガのISO800。観客席からの手持ち撮影。もちろん撮影は事前の許可をとっておくことが必要。写真のPentax SPFは200mmF3.5付き。


ニューハードのジョージ・岡田と溝田聡
 「50年以上の歴史を誇るニューハードにも、とうとう茶髪が入ってきましたネ」とは司会者児山紀芳の弁。Pentax SPF SMC Takmar 135mmF2.5 Fuji ネガカラー ISO800 f4 1/60sec で手持ち撮影

 デジタルカメラ
 ジャズスポット・サクランボのライブ撮影にはデジタルカメラをよく使う。
 デジタルカメラはコンパクトタイプで十分、サクランボのような狭い空間には重宝である。が、やはり撮影条件は厳しい。レンズ交換式の高級デジタルカメラなら文句ないが、まだ高価でおいそれと買うわけにはいかない。
 コンパクト型に限ってデジカメの必要条件を列記してみると、まずレンズが明るいこと、最低でも3倍の光学式ズームレンズを有していること、ISO感度が設定できること、フラッシュオフ、シャッター速度優先設定が簡単に行えるなどが必要スペックだ。
 これらの条件を満たすデジカメは数少ないが、私はオリンパスのC-2040Z(200万画素)とC4040Z(400万画素)を愛用している。これらのカメラのレンズはズームでも明るさは広角側でF1.8もあり、望遠側でもF2.6をキープしている。これはコンパクト・デジカメでは今のところ最も明るいレンズといえる。ISO相当感度も容易に400にセットできる。これならサクランボのライブの明るさでも1/40〜1/60秒のシャッターで何とかいける。F2.8クラスのデジカメでは1/20秒くらいで露出は何とかなるが、激しいジャズミュージシャンの動きには被写体ブレを起こすこともあるだろう。

「原朋直 in Sakuranbo Live」

Olympus C-2040Z (2Mega Pix)
f2.6 1/40Sec. ISO400 で撮影、約1/3にトリミング
 一般にデジタルカメラは画素数が多いほど「よく写る」と思われているがこれは間違いである。専門的に言えば同じ画素数ならCCD(光検知素子)の大きさが大きいほど高画質になる傾向にある。CCDの大きさは、カタログでは普通1/3インチとか1/2インチとかのウエハの対角線で表現されている。これら(CCDの粒)が大きいほど感度や色再現などが優れていると考えられる。
 では、画素数とは何か、これが多いほど大きなプリントが可能と考えるのが一番わかりやすいだろう。200万画素でキャビネか六切り、400万画素では四切り〜A3位までのサイズで十分シャープで高画質なプリントを楽しむことができる。もちろん200万画素でも四切やそれ以上のサイズにプリント可能であるが多少色再現やザラツキの問題が出てくる。
 普通の旅行用や記念撮影にはキャビネ(2L)くらいのプリントは大きい方で普通はLサイズが手頃で一番普及している。したがって100万画素もあれは十分ということになる。
 デジタルカメラはまだ発展途上の段階にあり、遠景になるほど銀鉛にはかなわない部分がでてくることは否めない。ライブでの撮影は近距離が大半なのでデジカメでも事が足り、十分実用になるというものだ。しかし、これも大ホールの後部の座席では100ミリくらいではどうしようもなく、まさか500ミリくらいの長玉を座席で三脚を使って撮るわけにもいかない。撮影を諦めてジャズを満喫する方が洒落ている。8〜10倍ズームも盛んになってきたが、レンズが暗くてライブでは話にならない。

 大ホールのライブは500ミリくらいのレンズがないとこんな結果になる。

コンパクト・デジカメ105mm相当のレンズで

 デジカメの電池の大食いには閉口するが、ノーフラッシュ撮影だと2時間くらいのライブ(約50〜150カット)なら電池を交換しなくてもすむ。使用電池は単三型ニッケル水素(2.1AH)4本。

 クラシックカメラで撮ったら・・・
 許可を得てサクランボに蛇腹カメラを持ち込んでみた。面白半分ではない、大伸ばしに耐えるネガが必要になったからだ。普通、中判以上のカメラは三脚を使うのが常識だがライブではそうもいかない。思案の末、持ち込んだのは50年くらい前の旧ソビエト製6x9cm判蛇腹カメラ「モスクワ5」。ツァイス・イコン(ドイツ)の名機スーパー・イコンタのデッドコピーとしてよく知られている。結果はなかなか品のあるしっかりした描写が得られた。
 今、ホットな大野雄二のルパン・ジャズライブに蛇腹カメラを持ち込むなんて前代未聞のことだろう。作例は
クラシック・カメラwebに掲載したので興味のある方はご覧頂きたい。


ニューオリンズのスパイカメラ | デジカメで遊ぶ

Sakuranbo menu