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日中は3月上旬のような穏やかな一日だった。 サクランボの新春ライブはハッピーなデキシーランド・ジャズが恒例になっている。 今年もあの「薗田憲一とデキシーキングス」がやってきた。ジャズのなかで最も心温まるハッピーなサウンドがデキシーランドジャズといわれている。デキシーの大きな特徴のひとつである楽器バンジョーの響きは、遠い昔の葬儀のパレードに端を発したものと言われるが、心の悲しみをジョイな気持ちに切り替える魔力を持っている。デキシーランドジャズには欠かせない楽器のひとつである。デキシー専門のバンドは世界を探してもそう多く無い。世界のトップにランクされるデキシーキングスは本格派にあって、いつもその中にユーモラスな演奏を取り入れるサービスを忘れない、観客を魅了する大きな要因にもなっている。メンバー:薗田憲一(tb) 、薗田祐司(tuba) 、永生元伸(banjo) 、白石幸司(cl)、筒井政明(tp)、楠堂浩己(ds) 。
オープニングは「上を向いて歩こう」、1961年中村八大の作曲、坂本九が歌ってヒットした、いわば日本のスタンダードナンバーともいえる曲である。海外でも「スキヤキソング」としてよく知られている。なぜこの曲が「スキヤキ」なのかはわからないが、デキシーで有名なケニーボール楽団や他のバンドも好んでこの「スキヤキ」を演奏している。しかし、おそらく日本人だけが曲のこころを理解できる、そんなナンバーだ。この曲をオープニングのトップにもってきたのには経緯がある。マスターの岡田澄雄さんが昨年FM放送に出演したときリスナーに約束した。不景気な暗い世相を吹き飛ばそう、来年のオープニングはこの曲で明るく行きましょう、とぶち上げたからだ。「錨(いかり)を上げて」や「世界は日の出を待っている」などデキシー定番のなかで、ペルーの名曲エル コンドル パサー(コンドルは飛んでいく)が始まった。永生元伸のバンジョーがこころよく流れ始める、白石幸司のクラリネット、筒井政明のトランペット、そして薗田憲一のトロンボーンへとソロがつながれ会場はしばらくムード音楽コンサートに変身する。NHK朝のラジオ小説満天の挿入歌「冬の星座」や瀧廉太郎の「花」など日本の名曲も披露された。「何でもジャズになるのね」とは傍(そば)にいたご婦人のつぶやきだ。どんな曲でもデキシーキングスに料理されると自然に体がウキウキ動き出す、デキシーとはそんなハッピーなサウンドである。 ラストナンバーの「12番街のラグ」で、楠堂浩己のユーモラスな演奏、ウォシュボード(俗称・洗濯板)が飛び出した。にぎやかにデキシーで始まった新春ライブ、今年もサクランボ・ライブは健在だ。4 Jan 2003 T.Kubo |
