Invitation to the Jazz Live
Report 18
大野雄二ピアノトリオ・クリスマスライブ


今夜も超満員、帰ってきたルパンIII世 Vol3
 「クリスマス・ライブ」
 あの大野雄二ピアノトリオがまたサクランボに帰ってきた。寒い一日だった。いつもの通り何のリハーサルもなく「Cジャムブルース」にすーっと入っていく。第一部はいつもより少し遅れて始まったが、それでも途中短い休憩を入れても3時間を悠に超える熱演だった。
 クリスマスシーズンも25日にもなればクリスマスミュージックも少し食傷気味になってくる。 あまりやらないが、と前置きしながら大野さんはサービス精神を発揮し出した。ルパンの匂いのするジングルベルとホワイトクリスマスだ。聴いているうちにこれらがとても新鮮に思えてくるから不思議だ。ジャズの凄さというかジャズピアノの魅力なんだろう、演奏が変わればこうも違うもんか。割れんばかりの拍手のうちに第1部が終わった。本物のアーチストはやはりちがう、あくまで観客が中心のエンターテナーシップである。第2部にはちょっと変わった「赤鼻のトナカイ」も飛び出し、何曲かのスタンダードナンバーの後、〆(しめ)はもちろん「ルパン三世のテーマ」、この夜は一段とノリの違うサウンドが鳴り渡っていた。観客のノリに誘われたのだろう。今夜も山下弘治のベース、村田憲一郎のドラムが絶妙のバランスでフォローしていた。




 現役の歯医者さんである村田憲一郎さんは、28日まで歯科医院をやり、その後も年内いっぱいライブで埋まっている。人気トリオだけに12月だけで15回ものライブをこなすという。ここは観客がノっているので演奏にも熱が入りちっとも疲れを感じないと話していた。狭い空間、フェイス・トゥ・フェイスの質の高い観客、自然な音響の木造ホール、アーチストをノせてしまう条件が揃っているライブハウス、それがサクランボである。


X'mas Candle Service on the table
 2部の途中から各テーブルには赤、青のキャンドルが配られクリスマスライブは最高潮に達した。「ルパン三世」が終わってもいつまでも拍手が鳴り止むことはなかった。と、一変して場内は水を打ったような静けさになった。そう、あの「小さな旅」が静かに流れ始めたからだ。作曲者大野雄二自身のピアノソロである。みんな目を閉じてうっとりしている。とてもジャズライブとは思えない静けさである。ピアノソロを堪能したころにマスターのジョージ・岡田さんがトロンボーンを持って現れた。25年前を思い出すかのように「小さな旅」のデュオがしばらく続いてライブは終わった。放心したかのような観客の顔が忘れられない。
 遠く静岡や広島からわざわざ今夜のライブのために上京した熱心なファンがいた。ローカルでこんな素晴らしいライブに接することができるのは何と幸せなことか、ローカルピープルの想いも皆同じだろう。

 次回の「大野雄二トリオ」のサクランボライブは2003年2月22日(土)、例によって予約をして帰る観客も少なくなかった。尚、次回からベースは山下弘治に代わって俵山昌之が務める。25 Dec 2002 T.Kubo
2002 12 25 大野雄二ピアノトリオ
山下弘治大野雄二村田憲一郎